エリツィン(ボリス=ニコライエヴィッチ=)
Yeltsin ( Boris Nikolayevich )(ロシア語)
…「トウヒ(唐檜)」(「戦いの栄光」「ニコライ(「勝利者」)の息子」)。
cf. 姓のエリツィンは、ヨールカ「トウヒ(クリスマスツリーに使われるエゾマツの一
種のトウヒ<唐檜>)」に、父称接辞 -in をつけたヨールキンに由来。
名前のボリスは、スラヴ語のボリスラーフ borislav ( bor 「戦い」と slav 「栄光」)
の短縮形。後者はスラヴ民族 slaves と同じ。ただし語源的には、トルコ系ブルガー
ル語の bogoris 「小さい」。理由は、この名前が由来するモスクワの守護聖人ボリー
ス(11世紀前後)が、ブルガリア王ボリス1世(9世紀に初のギリシア正教化)に
あやかったものとされるから。ちなみに、ドイツ語人名のポルシェ Porsche は、この
ボリス Boris と同族のボリーソフ Brisov から生まれたもの。
名前のニコラエビッチは、ギリシア語の nike「勝利」(ギリシア神話の勝利の女神
ニケ)と laos 「人々、兵隊」で構成されるロシア語人名ニコライに、ロシア語のヴ
ィッチ -vich 「~の息子」がついたもの。子どもの守護聖人である聖ニコラス Nicholas
(英語)や、9世紀に活躍したローマ教皇聖ニコラウス1世 Nicolaus Ⅰ(ラテン語)
にちなむ。